北海道新幹線
札幌延伸に向けた取り組み・札幌駅部の新幹線工事・札幌駅周辺開発
新函館北斗〜札幌間の高速化
2019(令和元)年5月に、当社から国土交通省に、新函館北斗〜札幌間を320km/hで走行可能とするための工事を当社の負担により実施することについて要請しました。その後、建設主体である鉄道・運輸機構と320km/h化の実施に向けて調整を行い、準備が整った工区から順次着工し、現在は工事が進んでいます。
320km/hで走行するために追加で必要となる主な工事内容は、トンネル坑口に設置されるトンネル緩衝工の延伸や、防音壁の嵩上げ、高架橋の強度の向上などがあります。
新幹線 札幌駅
2018(平成30)年3月に北海道、札幌市、国土交通省、鉄道・運輸機構及び当社からなる五者協議において、新幹線札幌駅のホーム位置が決定し、2018(平成30)年11月に工事実施計画の変更が認可されました。在来線施設の移設及び新幹線駅部の設計・工事は当社が鉄道・運輸機構から受託し施工しています。
新幹線札幌駅が新たな道都の顔として、ご利用されるお客様、地域の皆様にとってより良いものとなるように、また、地域の発展や経済活性化にも繋がるように、工事を着実に推進していきます。
新函館北斗~札幌間のトンネル工事
新函館北斗~札幌間のトンネル工事のうち、2025年3月の有識者会議で報告された遅延リスクの高い工区があるトンネルの掘削状況と完了見通し、掘削率は下記の通りです。
| トンネル名 | 掘削の状況(※1) | 土木工事完了見通し(※1) | 掘削率(※2) |
|---|---|---|---|
| 札樽トンネル | 想定を上回る地質不良による掘削難航 | 2030年5月頃(札幌工区) | 25%(札幌工区) |
| 羊蹄トンネル | 巨大な岩塊群遭遇により掘削難航 | 2030年8月頃(有島工区) | 67%(有島工区) |
| 渡島トンネル | 想定を上回る地質不良による掘削難航 | 2030年11月頃(台場山工区) | 49%(台場山工区) |
※1 2025年3月公表の有識者会議報告書による
※2 鉄道・運輸機構ホームページ(2025年7月現在)による
札幌市街地の平面略図
羊蹄トンネル(有島工区)で撤去された岩塊
提供:鉄道・運輸機構
渡島トンネル(台場山工区)坑内への土砂流入
提供:鉄道・運輸機構
札幌開業の延期による当社への影響
札幌開業の延期により当社には様々な影響がありますが、主な影響は以下の通りです。
車両計画
- 新幹線⾞両の更新や札幌開業に向けた車両の調達に向けて、スケジュールの見直し等が必要となります。
- 並行在来線の運行期間が延びることで、特急北斗のキハ261系やH100形の他線区への配置転換の時期が先送りとなるなど、全道の在来線の⾞両運⽤計画に影響が⽣じるため、車両の改修や運用体系の検討が必要となります。
施設計画
- 当社が受託する新幹線工事のスケジュールや、新幹線や在来線設備の更新計画等について見直し等が必要となります。
開発事業
- 札幌駅の再開発事業や倶知安駅周辺のホテル開発等について収益性に影響する可能性があり、対応策の検討が必要になります。
要員計画
- 新幹線要員の養成のほか、全社的な要員計画等の見直しが必要となります。
中長期計画(長期収支)
- 新幹線や並行在来線の大幅な赤字が当面継続となるため、その間の収支改善策(現在の「日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律」に基づく国による当社への支援含む)について検討が必要となります。
札幌駅部の新幹線工事
計画概要
新幹線札幌駅の設計・建設工事は、在来線の支障移転工事と共に、建設主体である鉄道・運輸機構から当社が委託を受けて進めています。在来線高架橋の南側に新幹線高架橋を新設するため、支障する線路・ホームの代替として2022年度に11番ホームを新設し、現在は新幹線高架橋の工事を進めております。新たに建設される新幹線札幌駅は、現在の札幌駅の東側、創成川をまたぐ位置となり、乗換こ線橋により新幹線ホームと在来線ホームを結びます。
新幹線駅舎
デザインコンセプトは「大地の架け橋」。創成川に面した新しい札幌の顔となるようデザインしました。
11番ホーム・新幹線高架橋
在来線札幌駅の北側に新たなホームを新設した後、高架橋とJRタワーの間に新幹線高架橋を新設します。
幹在乗換こ線橋
新幹線駅から在来線の各ホームへアクセス可能な乗換こ線橋を線路の上空に設置します。
東改札口
札幌市からの要望をうけ新幹線東改札口を設置します。高架下には札幌市により交通広場を整備する予定です。
札幌駅周辺開発について
北海道新幹線札幌開業を見据えて、札幌駅周辺は札幌市により「札幌駅交流拠点」として位置づけられ、官民一体となった各種整備が検討段階にあります。具体的には、面的な再開発に加え、都心アクセス道路、バスターミナルや駅前広場など交通基盤の再整備、地下や創成川以東への歩行者ネットワークの強化等が連動して検討されています。
当社としてはこういった背景を捉え、札幌駅周辺再開発を長期経営ビジョンの最重要施策と位置づけ、事業化に向けた取組みを進めています。
| 事業主体 | 札幌駅交流拠点北5西1・西2地区市街地再開発組合 |
|---|---|
| 組合員 |
|
| 延床面積 | 約386,700㎡(容積率:約1,462%) |
| 主要用途 |
●展望施設(41F~43F):約4,600㎡ ●国際水準ホテル(35F〜40F):約24,700㎡(約200室) ●オフィス(10F〜12F、18F〜33F):約85,300㎡ ●宿泊主体ホテル(10F、14F〜17F): 約14,100㎡(約300室) ●商業(B1F〜10F):約108,600㎡ ●その他共用部等:約149,400㎡ |
| 高さ・階数 |
高さ約245m 地上43階 地下4階 (参考 JRタワー:高さ約173m 地上38階 地下4階) |
※現在、計画見直し中のため変更となる可能性があります
再開発組合
札幌市と当社を含めるグループ4社は、 2019(令和元)年11月に「札幌駅交流拠点北5西1・西2地区市街地再開発準備組合」を設立して事業化に向けた検討を開始しました。再開発事業の対象区域は、「札幌駅交流拠点」の中で「先導街区」と位置づけられる北5西1街区及び北5西2街区で、西1街区には新幹線駅と一体的な高層棟を配置し、両街区をまたぐ形で低層部を配置する計画を検討しています。
2022(令和4)年10月の都市計画決定、2023(令和5)年3月の組合設立認可を経て、再開発組合の設立に至りました。
現在は工事費の高騰等に伴って、遅くとも2030(令和12)年度末の全体竣工を目指して計画の見直しを進めています。
北海道新幹線札幌開業を見据え、「世界につながる”さっぽろ”の新たな顔」としてふさわしいまちづくりを目指しています。
配置図及び交通結節機能イメージ
3つのアトリウムの整備
新幹線アトリウム(仮称)
北海道の魅力を発信する新幹線駅改札直結空間
駅前広場アトリウム(仮称)
札幌駅南口駅前広場と建物内の賑わいをつなげる空間
バスターミナル待合アトリウム(仮称)
主にバスターミナル利用者のための道路上空に位置する待合スペース
※画像提供/札幌駅交流拠点北5西1・西2地区市街地再開発準備組合
※現在、計画見直し中のため変更となる可能性があります