北海道新幹線

北海道新幹線固有のコストと特殊性

北海道新幹線固有の特殊要因

北海道新幹線は、新中小国信号場~木古内間で新幹線と在来線貨物列車が同一線路で共用走行を行っていることや、青函トンネルの維持管理など、ほかの整備新幹線とは異なる条件を有しています。

共用走行区間の減速走行による影響

北海道新幹線は最高速度260km/hで運行していますが、貨物列車とのすれ違い時の安全確保の観点から、青函トンネル内については160km/h、その他の在来線との共用走行区間は140km/hに抑えられているため所要時間が増加しています。
これにより、本来であれば北海道新幹線をご利用いただいていると思われるお客様が、他の交通機関をご利用になっているものと考えられます。

速度向上に向けた取り組み

青函共用走行区間の高速化については、2017(平成29)年12月に国土交通省により設置された青函共用走行区間等高速化検討ワーキンググループにおいて、青函トンネル内での160km/h走行を2018(平成30)年度末に、また、青函トンネル内の下り線での210km/h走行を遅くとも2020(令和2)年度に、特定の時期の一部時間帯において開始を目指す方針(時間帯区分方式)が取りまとめられました。これを受け、2018(平成30)年9月に青函トンネル内において速度向上試験などを行い、安全性の確認ができたことから、2019(平成31)年3月16日のダイヤ改正により160km/hでの走行を開始しました。また、2019(令和元)年度に青函トンネル内において、速度向上試験(200~260km/h)などを行い、青函トンネル内の210km/h走行に向けた取り組みを進めています。

時間帯区分方式

時間帯区分方式とは、在来線列車と新幹線列車が走行する時間帯を分けることにより、新幹線が高速走行を行う方式です。新幹線のみが走行する高速走行時間帯を設定し、青函トンネル内を新幹線が210km/hで走行します。貨物列車の運行が少ない年末年始など特定時期に実施します。

貨物列車との共用走行に伴うコスト負担

貨物列車との共用走行を行うことにより、共用走行区間において貨物列車のみが使用する設備である在来線専用レールや三線分岐器などに係る経費のほか、貨物列車のみが走行する設備(奥津軽いまべつ駅及び湯の里知内信号場の貨物列車待避線、新中小国信号場を含む在来線区間など)に係る経費の負担が必要となっています。

三線軌条

北海道新幹線の新中小国信号場~木古内間は、新幹線と貨物列車が共用走行するため、新幹線が使用するレールに加え貨物列車のみが使用する在来線専用レールの3本のレールを敷設した「三線軌条」という特別な線路構造になっています。
また、分岐器についても三線軌条用の複雑な構造になっています。
さらに、レールとマクラギを固定する締結装置は、通常の線路の1.5倍敷設されています。しかも、新幹線専用レールと在来線専用レールの狭い範囲に多数の部材が敷設されていることから、保守作業が行いにくく、通常の線路だと問題にならない程度のわずかな部材のずれでも軌道短絡などの輸送障害につながります。

限界支障報知装置

三線軌条区間では、新幹線が初めて在来線と共用走行を行うことから、検知線(光ケーブル)を用いて、脱線や落下物などにより新幹線の走行する線路内に影響が発生したことを自動検知する「限界支障報知装置」を共用走行区間の上下線間に敷設しています。
この装置は落氷雪の衝撃による検知線の損傷、誤動作などから輸送障害につながるリスクがあるため、将来にわたりメンテナンスや設備更新を行い、特有の設備を維持していく必要があります。

保守間合いの確保

一般の新幹線では、設備保守を行うための作業時間が夜間に6時間確保されています。しかし、共用走行区間は三線軌条という一般の新幹線より多くのメンテナンスが必要な設備であるにもかかわらず、夜間にも貨物列車が多数走行することから、作業可能な時間が少なくなっています。このため、1回でできる作業量が限られ、短時間で必要な作業を行うための体制をとらなければならないなど、コスト高になっています。これを改善し、より効率的に作業を行うため、関係者と協議・調整をして定期的な作業時間の拡大に取り組んでいます。

部分開業でも保有が必要な設備により過大となる固定費

北海道新幹線では新青森〜新函館北斗間という短区間の部分開業であるにもかかわらず、全ての必要な車両検査に対応した車両基地や、新幹線の運行を管理する指令所などの設備を保有しています。そのため、車両数・列車本数が少ないにも関わらず、これらに関する固定費が必要となっています。

自動塗装装置・
車体塗装排気装置

全般検査の際に車体を塗装するための装置

車体昇降移動装置
台車検査・全般検査の際に台車の抜き取りや床下機器の脱着のために車体を持ち上げるための装置

台車抜き取り装置
臨時修繕の際に、車体から台車を取り外すための装置

車輪旋盤
台車から取り外した車輪の踏面を計測し、正常な状態に保つために削正を行う機械であり、台車検査や臨時検査の際に使用する装置

末端区間の需要減少に対し10両編成での運行によるコスト増

北海道新幹線新青森〜新函館北斗間はお客様の多い東京方面からみて末端区間に位置し、お客様の需要も限定的となっています。
しかし、東北新幹線との相互直通運転を行うことから、北海道新幹線区間の需要に対しては過大となる10両編成での運行が必要であり、短い編成両数での運行と比較し、車両の修繕費や清掃費、動力費など、その分多くのコストを要しています。