EPISODE.5 ~2024~ AOMORI VS HOKKAIDO 青森県産ホタテ×北海道産タコ

青森のシャコ

津軽半島と下北半島に囲まれた陸奥湾は、魚介類の宝庫です。
知る人ぞ知るシャコの産地でもあります。
青森の春の味覚である陸奥湾のシャコ。
地元では、季節を感じられる珍味として、お花見の席で親しまれています。

シャコ

シャコの英名は「カマキリエビ」

シャコは、茹でるとシャクナゲの花のような淡い赤紫色になることから、江戸時代には「シャクナゲ」と呼ばれていたそうです。それがいつしか転じて「シャコ」になった、というのがシャコの名前の由来とされています。英名は「Mantis shrimp(カマキリエビ)」です。シャコの姿形から名付けられたとあって、言い得て妙。見た目は昆虫に近いものがありますし、シャコの特徴である前脚(補脚)は、カマキリの「鎌」によく似ています。補脚は獲物をとるときに使う、いわば武器です。カマキリは鎌を振りおろすように使いますが、シャコは下からすくい取るように使って、一瞬で獲物をとるのだとか。補脚による攻撃力は非常に強く、貝やカニの殻を叩き割るほどです。そんなシャコは、内湾や内海の砂泥質海域に生息し、泥底にU字型の巣穴を掘って単独で生活しています。

シャコとエビは似て非なるもの

シャコは、一見するとエビに似ているので、地域によってはシャコではなく「◯◯エビ」と呼ばれています。たとえば、青森では「ガサエビ」というように。大まかには、シャコとエビは同じ「甲殻類」の仲間といえますが、分類上は別種の生き物です。シャコは「口脚目」、エビは「十脚目」に分類され、カニやヤドカリも十脚目に属しています。紛らわしいのが、「アナジャコ」。名前がシャコっぽく、見た目もシャコに似ていますが、エビと同じグループなのです。味はカニに近いのだとか。アナジャコは干潟に穴を掘って暮らしています。性格は獰猛なシャコとは違い、臆病でおとなしいといわれています。このアナジャコとシャコも似て非なるものですが、どちらも甲殻類。エビやカニなどの甲殻類アレルギーを持つ人は、アナジャコとシャコにも注意が必要です。

甲殻類分類図
ガサエビ

七子八珍のひとつ「ガサエビ」

青森では、「ガサエビ」と呼ばれているシャコ。県内では陸奥湾でしか獲れない貴重な味で、トゲクリガニとともにお花見の席で親しまれてきました。また、ガサエビは「七子八珍」のひとつでもあります。七子八珍とは、青森の新鮮な魚介類を「四季の味」としてブランド化したものです。七子は、晩秋から早春にかけて旬を迎える、すじこやたらこなど「子」が付く魚卵七品で構成されています。八珍は、季節を感じる珍味として地元で愛されている八品からなり、ガサエビも名を連ねているのです。近年、全国各地のシャコの産地では、漁獲量が減少傾向にあるといいます。飲食店などで以前のようにシャコを見かけなくなったという話もしばしば聞かれます。いまは、シャコに出会えれば幸運という時代になりつつあるのかもしれません。

シャコはシンプルに
「塩茹で」でいただく!

青森の春の味覚である陸奥湾のシャコ。この時期は産卵期にあたり、メスはお腹に卵をたくさん抱えています。オレンジ色の卵塊は「カツブシ」と呼ばれ、鰹節のような濃い旨みとプリっとした独特の食感が特徴です。身の甘さや旨さにカツブシの旨みも加わった旬のメスシャコは、格別の味わいで、高い評価を得ています。一方、オスのシャコは身そのものの風味をストレートに感じられます。シャコはクセがないので、さまざまな料理に使えるのも魅力です。酢の物や天ぷら、お味噌汁の具にも向いています。シャコのうまさをダイレクトに味わうなら、「塩茹で」がおすすめです。おいしく食べるコツは、なるべく早く茹でること。というのも、シャコは非常に鮮度が落ちやすいからです。できれば、生きているうちに茹でるのが望ましいといわれています。

塩茹でしたシャコ

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※画像はイメージです。

北海道のマダラ

冷たい海を好むマダラは、北海道周辺に多く分布しています。
なかでも、津軽海峡に面した函館市恵山地区の沿岸は、道内屈指のマダラの好漁場です。
釣り上げた直後に活〆と冷却処理がなされる恵山のマダラは、鮮度が高く、世界一ともいわれる品質を誇ります。

マダラ

獲物を「たらふく」食べる大食漢

日本で漁獲されるタラ類は、主に「マダラ」と「スケトウダラ」の2種類で、単に「タラ」という場合は、一般的にはマダラを指します。マダラは、大きいものでは体長1m、体重20kgにも達する大型魚です。体長30〜40cmほどの小型のマダラは「ポンタラ」と呼ばれ、北海道では近年、ポンタラの水揚げ量が増加傾向にあります。マダラの体で特徴的なのは、口とお腹の大きさです。大きな口で、ホッケやカレイ、エビ、タコ、巻き貝といった獲物を手当たりしだいに食べ、お腹が膨れるほど詰め込みます。そんなマダラの食性になぞらえて、「お腹いっぱいに」「十二分に」という意味の「たらふく」には、「鱈腹」の字が当てられるようになったといわれています。また、マダラの和名の由来は、体の表面にある独特の斑模様(まだらもよう)からきているという説が有力です。

オスに高値が付く珍しい魚

「捨てるところがない魚」といわれるマダラは、どの部位も料理に使えて、おいしく食べられます。とくに白子(精巣)は絶品と評される部位で、寒さが増すごとにおいしさも増す、冬ならではの味覚です。北海道では、タラの白子を「たち」と呼びます。厳密には、マダラの白子は「真たち」、スケトウダラの白子は「助たち」と区別され、助たちよりも大きな真たちは、高級品として取り引きされています。一方、「真子」と呼ばれるマダラの卵巣は、スケトウダラの卵巣「助子」ほど評価が高くありません。というのは、真子は大きいうえに黒い皮に包まれているため、インパクトがありすぎるのです。ちなみに、助子を塩漬けしたものが「たらこ」です。ところで、産卵期に漁獲される魚は、メスに高値が付くものですが、マダラはオスに高値が付く珍しいケースといえます。

白子
白子の軍艦

「真鱈」の旬は雪の降る寒い時期

北海道では、マダラは1年を通して漁獲されています。とはいえ旬はあって、漢字で「鱈」と書くように、雪が降る12〜2月の厳冬期です。この時期はちょうどマダラの産卵期にあたるため、体は丸々と太り、お腹には大きな白子や卵を抱えています。じつは、マダラは夏もおいしいと評判なのですが、寒い時期が旬とされるのは、白子の存在が大きいようです。白子は、産卵期を迎えると成熟して大きくなり、甘みや旨みがぐっと増してきます。その時期を過ぎると、本来のおいしさが失われてしまうばかりか、白子そのものが食べられなくなる、究極の旬素材なのです。白子は栄養価の高さでも知られています。タンパク質や核酸が豊富に含まれているので、細胞の再生がスムーズに行われるのだとか。また、マダラの身も高タンパクで低脂肪、ビタミン豊富な優秀食材です。

鱈といえば、
冬の鍋料理の定番「タラちり」。

淡白な味わいのマダラは、鍋物や汁物、焼き物、昆布締めなど、どんな料理にも合います。冬の季語にもなっている「ちり鍋」に使われる魚の代表格で、「タラちり」は冬の鍋料理の定番です。いちばんオーソドックスな「タラちり」は、マダラの切り身だけを使いますが、好みで白子や真子、アラを加えることも。北海道では白子を使った「たちのお味噌汁」も冬ならではの一品です。マダラが旬の時期には、真子もはずせません。おすすめは「子和え(こあえ)」。家庭料理なので、味付けや具材は各家庭で異なる点はあるものの、基本は真子とつきこんにゃくを使って甘辛く炒り煮します。なにかと白子がメインになりがちですが、真子も負けず劣らずおいしい食材です。東北や北陸地方のマダラの産地でも、子和えと似たような郷土料理が根付いています。

タラちり

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※画像はイメージです。

漁師さんのインタビュー動画へ 御料理 はた善 親方 畠中均さん

だし醤油で炊いたシャコは
旨さが一味違います!

青森に桜の便りが届く頃、陸奥湾のシャコのシーズンが始まります。
地元では、お花見の定番食材として親しまれているシャコ。
そんな食文化を守っているのが料理人の畠中さんです。青森のシャコについてお話を伺いました。

青森のシャコの
一押しポイントを教えてください。

青森のシャコは、食べている餌の関係だと思うのですが、すごく味がいいんですよ。陸奥湾に注ぎ込む八甲田山系からの雪解け水には、植物プランクトンが豊富に含まれています。シャコは、そのプランクトンを食べて育った魚や貝類を餌にしていますから、たっぷり栄養がとれているのでしょうね。シャコというのはけっこう獰猛な生き物で、エビなどの甲殻類も獲って食べるそうですよ。

シャコの写真

青森県民にとってシャコとは?

地元では、シャコのことを「ガサエビ」と呼んでいまして、トゲクリガニと並ぶお花見には欠かせない食材です。その二つがなければ花見が始まらないというほど絶大な支持を得ていますね。弘前の桜まつりが開催されるころ、シャコはちょうど旬を迎えます。旬のシャコを食べながら、お酒を飲みながら、桜を観るというのが青森のお花見の定番です。大人にはお酒のアテとして親しまれているシャコですが、子どももよく食べますよ。

シャコの調理風景

地元では、シャコを
どんなふうに食べていますか。

シャコを丸ごと煮たり、塩茹でしたりして食べることが多いですね。ハサミで食べやすく切って、爪や頭の部分も、しゃぶるような感じで食べていくんです。じつは、いちばんおいしいと言われているのが爪で、身がたくさん詰まっています。頭の部分に入っている味噌もおいしいんですよ。なので、地元では、シャコの身はもちろん爪や頭の部分も好んで食べられています。4月中旬から5月にかけてはシャコの産卵時期。地元の人は卵の入ったメスのシャコを好んで食べています。

シャコの調理風景

お店では、どんなシャコ料理が
食べられますか。

当店では、シャコをだし醤油で炊いてお出ししています。かつお出汁に酒とみりん、だし昆布を入れて、シャコを煮るベースを作り、そこに生きたシャコを投入します。生きたシャコでなければ、皮がきれいにむけないんですよ。首都圏から来られるお客さまの多くは、寿司ネタのようなむき身のシャコしか見たことがないようで、ここで「初めてシャコの原型を見た」という方も。当店はだし醤油で炊いていることもあり、茹でただけのものとはまた一味違って、シャコ自体がおいしいという感想をいただきます。

シャコ料理の写真

シャコ料理で
こだわっているところはありますか。

生きたシャコしか煮ないということにこだわっています。むき身のシャコしか見たことがない方も多くいらっしゃいますので、シャコのむき方をお教えしたり、むいて差し上げたりすることも、こだわりと言えるかもしれません。 近年、海の環境の変化によるものなのか……原因ははっきりしていないのですが、シャコの漁獲量は減少傾向で、さらに漁師さんの廃業などもあり、以前に比べるとシャコが手に入りづらい状況にあります。けれど、桜が咲くとやっぱりシャコが食べたいとご来店されるお客さまが多いものですから、シャコを切らさず提供できるよう、仕入れを工夫するなど対応しているところです。

畠中均さん
はた善外観
取材協力
御料理 はた善
青森県青森市安方2丁目17-15
ライオンズマンション新町通1F
Tel: 017-773-0241
WEBサイトを見る ▶︎

※2024年1月現在の情報です。ご紹介の料理は天候や水揚げ状況等により提供できない場合があります。

津軽海峡の旨いは、
地元料理人に聞け!

青森の「シャコ」、北海道の「マダラ」
地元の料理人が互いの魅力を動画でご紹介。

ツガルカイセン動画サムネイル

地元料理人のインタビュー動画へ 函館湯の川 大寿し 板前 大口陽平さん

特製ポン酢が白子の旨さを
より引き立てます!

北海道の冬の味覚の代表格であるマダラ・マダチ(白子)。
とりわけマダチは旬の時期にしか食べられない貴重な食材です。そんなマダチを使った料理に定評のある大寿し。
2代目の大口陽平さんにマダチの魅力についてお話を伺いました。

北海道のマダラ・マダチ(白子)の
一押しポイントを教えてください。

北海道のというより、当店で扱うマダラの一押しポイントになるのかもしれませんが、やはり新鮮さがいちばんの魅力です。白子はとくに新鮮さが命ですから、朝に釣ったタラの白子がすぐに手元に届くというのは、函館ならではの利点だと思いますね。4年前までは道外で板前修行をしていたので、新鮮なものをすぐに扱える函館の良さを実感しています。

大口陽平さん

北海道民にとって
マダラ・マダチ(白子)とは?

白子は冬の始まりを意味する食材です。お馴染みのマグロやホタテなども冬になるとよりおいしくなりますが、白子は時期ものですからね。寒くなってくると、「白子はまだかな?まだかな?」と待ち遠しい。逆に白子がなくなると、冬も終わりだなと感じます。マダラ自体は一年を通して漁獲されますが、白子は本当に冬だけのものなので。この時期は、白子を注文されるお客さまがすごく多いです。おかわりをする方もいらっしゃいます。とくに道民のみなさんからの人気は高いですね。

白子の写真

地元では、マダラ(白子)を
どんなふうに食べていますか。

当店のまかないでいうと、基本は鍋です。タラは余すところがない魚で、カマや頭、骨のところなどアラを使うといいだしが取れておいしくなります。あとはフライにするのもおすすめです。ホクホクした食感がたまりません。

白子の調理風景

お店では、どんなマダラ料理が
食べられますか。

メニューとしては「白子ポン酢」と「白子塩振り焼き」をメインにお出ししています。水揚げされたばかりの白子は臭みがなくて、濃厚でポン酢との相性抜群です。焼いた白子はなめらかで、ちょっと柑橘をかけても合いますね。
お通しで「白子と鱈の揚げ出し」や「みぞれ煮」などを出すことも。「白子入りの茶碗蒸し」もお客さまにご好評をいただいています。茶碗蒸しに白子を入れると、すごくクリーミーになるんです。

白子料理の写真

マダラ料理で
こだわっているところはありますか。

白子を待ち望んでいるお客さまが少なくないので、白子の品質にはこだわっています。待ちわびた白子のシーズンになると、まず自分が食べてみます。納得のいく味なら、自信をもってお客さまにお出しできますから。
こだわりといえば、「白子ポン酢」に使うポン酢は自家製です。作り方は企業秘密ですが、評判は上々で、白子の旨さに負けません。このポン酢こそが、白子のおいしさをより引き立てていると自負しています。

大口陽平さん
大寿し外観
取材協力
函館湯の川 大寿し
北海道函館市湯川町1丁目16-12
Tel: 0138-57-1393
WEBサイトを見る ▶︎

※2024年1月現在の情報です。ご紹介の料理は天候や水揚げ状況等により提供できない場合があります。

津軽海峡の旨いは、
地元料理人に聞け!

青森の「シャコ」、北海道の「マダラ」
地元の料理人が互いの魅力を動画でご紹介。

ツガルカイセン動画サムネイル
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