JR北海道

MENU

映画の舞台となった北海道の鉄道 人を魅了するのは、雪原を走る列車か、車窓の絶景か。北海道の鉄道は、多くの映画を輝かせてきた。映画の舞台となった北海道の鉄道 人を魅了するのは、雪原を走る列車か、車窓の絶景か。北海道の鉄道は、多くの映画を輝かせてきた。

「鉄道員(ぽっぽや)」(1999年公開) ©1999「鉄道員(ぽっぽや)」製作委員会

北海道の鉄道が輝かせた、
多くのヒット作

旅行のスタイルの一つに、映画やドラマ、CMなどの撮影現場を訪れる「ロケ地めぐり」がある。「シネマツーリズム」とか「フィルムツーリズム」、あるいは「ロケツリーリズム 」ともいう。2018年2月、観光庁の支援を受けたロケツーリズム協議会が主催する「第1回ロケツーリズムアワード」の授賞式があった。ロケ地めぐりは、期待されている観光のかたちなのだ。

撮影にふさわしい風景や場所に恵まれた北海道は、戦前からさまざまな映画のロケ地となってきた。中でも有名なのは『幸福の黄色いハンカチ』(1977年、松竹)だろうか。日本の代表的ロードムービーである。印象的なのは、何十枚もの黄色いハンカチがはためくクライマックス。夕張市で撮影され、その場所は「幸福の黄色いハンカチ想い出ひろば」として観光スポットとなっている。この映画にも鉄道がたびたび登場する。網走駅や旧陸別駅、列車、線路などが、主人公たちの人生のちょっとした分岐点に現れ、心象を映して、スクリーンを流れていく。この映画に主演した高倉健さんは「海峡」(1982年、東宝)でも名演で魅せる。青函トンネル工事を成し遂げた国鉄マンとトンネルマンたちの物語である。映画公開の翌年に先進導坑、その2年後に本坑が貫通した。その歴史は「福島町青函トンネル記念館」がいまも伝えている。

鉄道は映画と相性がいい。線路は人の一生に、駅は人生の分岐点にたとえられることもあるからだろうか。前述の高倉健さんが主演した『駅 STATION』(1981年、東宝)という名作がある。吹雪と電車の警笛が聞こえ、車両が銭函駅にすべりこむシーンから始まり、夜の旧増毛駅から列車が出ていくシーンで終わる。主人公は、射撃でオリンピックにも出場した刑事であり、駅は、職場でもなければ事件現場でもない。しかし、人との出会いと別れの場として描かれ、心を表象するものとして描かれる。劇中、手紙のなかに出てくる「暗闇の彼方に光る一点を 今 駅舎の灯と信じつつ行く」という句が象徴的だ。いま、旧増毛駅は、開業当時の姿に改修され、観光案内所として利用されている「風待食堂」とともに観光客を迎えている。

鉄道と生きた男の物語、
人生の発着点となった駅

さまざまな映画のシーンを彩ってきた北海道の鉄道が主役を張った映画といえば、やはり『鉄道員(ぽっぽや)』(1999年、東映)だろう。物語は、枯れ草と木立のなか、煙を吐きながら疾走するSLの映像から始まる。高倉健さんが演じる佐藤乙松の鉄道員としての人生が描かれた。乙松が駅長を務める「幌舞駅」がある幌舞は、炭鉱と共に栄えたまち。炭鉱の最盛期から衰退へという時代の流れ、蒸気機関車から電車へという動力の変化、鉄道の廃線など、112分の物語のなかに北海道の鉄道の歴史を見ることができる。

映画の舞台「幌舞駅」のロケ地となったのが、南富良野町にある「幾寅駅」だ。ロケが行われた駅舎には、撮影で使用した小道具や衣装が展示されている。駅前の「だるま食堂」「井口商店」「ひらた理容店」はセットだが、そのまま保存されて、まち並みの一部になった。映画の世界が残っている幾寅駅は、いまも訪れる人が絶えない。ノスタルジックなホームに立ち、寡黙な乙松駅長になりきって、北海道の鉄道の歴史に思いを馳せてみてはいかがだろうか。

また、駅を人生の発着点として描いたのは、『起終点駅 ターミナル』(2015年、東映)だ。原作は釧路市出身の直木賞受賞作家・桜木紫乃さん、主演は佐藤浩市さん、本田翼さんや尾野真千子さん、中村獅童さんたちが主人公の人生を動かす重要な役を演じた。ある駅のホームで恋人を失った主人公が、逃げ込み、25年の時を経て、新たな人生に向かって一歩を踏み出したのは釧路駅である。札幌と釧路を結ぶ「特急スーパーおおぞら」の始発駅であり、終着駅であり、道東観光の拠点である。釧路駅からほど近い「和商市場」や夕日の名所として知られる「幣舞橋」もスクリーンを飾った。

「鉄道員(ぽっぽや)」(1999年公開)
©1999「鉄道員(ぽっぽや)」製作委員会

話題作『北の桜守』に登場。
美しく荘厳な“鉄道遺産”

今年公開されたの話題作の一つ『北の桜守』(2018年、東映)。吉永小百合さんの120本目の出演映画であり、『北の零年』(2005年、東映)、『北のカナリアたち』(2012年、東映)に続く「北の三部作」最終章である。ここでも北海道の鉄道は重要な役割を果たす。まず、「抜海駅」。稚内市にある日本最北の無人駅、日本最北の木造駅舎として知られ、鉄道ファンを惹きつけてやまない秘境駅だ。江蓮てつ(吉永小百合さん)と修二郎(堺雅人さん)の親子が、樺太から引き揚げて網走で暮らし始めたころ、警察の目を盗んで闇米を運ぶシーンと、それから30年ほどの時が流れた1971年、親子で旅するシーンに登場した。劇中では、網走につながる白滝駅となっている。

登場時間はわずかだが、造形の美しさで目を引いたのは「稚内港北防波堤ドーム」だ。1936年に完成、2001年に「北海道遺産」、2003年に「土木学会推奨土木遺産」に指定された。当時の知識と技術の粋を集めて造られた後世に伝えたい“鉄道遺産”の一つである。ところで、防波堤が鉄道とどう関係あるのか。かつて、稚内と樺太の大泊(現在のサハリン州コルサコフ)は、鉄道連絡船「稚泊連絡船」で結ばれていた。その発着場の稚内港を強風と高波から守るために建設されたのが防波堤だ。その内部に、連絡船と鉄道との乗り換えをスムーズにするため、「稚内桟橋駅」がつくられたのだ。映画では、網走の家を失い、札幌に引き取られたてつが「樺太に帰る」と言い出し、修二郎と共に立ち寄る。このとき、稚泊航路はすでになく、稚内と利尻島・礼文島を結ぶ離島フェリーの発着場となっていた。いま、乗り場は別の場所に移動したが、離島フェリーは健在である。てつが帰りたかった樺太には行けないが、礼文島に渡ってみたい。この島には、『北のカナリアたち』の撮影現場を整備した「北のカナリアパーク」がある。ロケ地のはしごが楽しめるのだ。

北の零年 北の零年

「北の零年」(2005年公開)
©2005「北の零年」製作委員会

北のカナリアたち 北のカナリアたち

「北のカナリアたち」(2012年公開)
©2012「北のカナリアたち」製作委員会

北の桜守 北の桜守

「北の桜守」(2018年公開)
©2018「北の桜守」製作委員会

ご紹介した北海道の主な映画ロケ地 ご紹介した北海道の主な映画ロケ地
  • ❶JR抜海駅[稚内市]❷稚内港北防波堤ドーム[稚内市]
  • ❸北の桜守パーク(メグマ沼自然公園内)[稚内市] ❹北のカナリアパーク[礼文町]
  • ❺JR釧路駅・和商市場・幣舞橋[釧路市]❻旧JR増毛駅[増毛町]
  • ❼青函トンネル ❽幸福の黄色いハンカチ 想い出ひろば[夕張市]
  • ❾JR幾寅駅[南富良野町]

(2018年6月)

スペシャルインタビューVol.3 北海道の風土が本物の映画を創る
TOPページへ戻る