代表取締役社長綿貫 泰之

北海道と共に歩む

私たちJR北海道は、国土の22%を占める広大な北海道で、約2,300kmの路線網に1日あたり1,200本あまりの列車を運行し、約25万人のお客さまへ安全な鉄道輸送サービスを日々提供しています。積雪寒冷地という特殊な気象条件の中で、これだけの規模の鉄道事業を運営している会社は、世界的に見ても数少ない存在です。現在この時間も、当社にいる約6千人の社員が、24時間365日、北海道の鉄道の安全運行を支えるために、絶え間なくそれぞれの業務を遂行しています。
人口減少や道路網の整備、激甚化する自然災害、コロナ禍によるライフスタイルの変化など、当社を取り巻く環境は急速に変化し続けています。また、石勝線列車脱線火災事故、大沼駅構内での貨物列車脱線事故をはじめとした数々の事故や不祥事など、「安全」「安心」という鉄道会社の根幹を揺るがす、会社存亡の危機にも直面しました。
そのような中でも、鉄道を日々ご利用くださるお客さま、鉄道を愛し応援してくださる地域の皆様が、私たちの周りには沢山いらっしゃいます。「お客さまあっての私たち」という想いを胸に、様々な課題や困難に対して、新しい挑戦を続け、北海道の鉄道会社として発展してきました。
「住んでよし、訪れてよし、北海道」を実現する企業グループとして、鉄道の活性化とまちづくりに貢献し、北海道と共に歩み続けていく。それがJR北海道そしてJR北海道グループの使命であると考えています。

北海道の未来を創る

2016年3月に北海道新幹線が新青森~新函館北斗間で開業し、2030年度末には札幌延伸を控えています。当社は北海道新幹線札幌延伸初年度となる2031年度の経営自立をゴール目標として掲げ、「中期経営計画」「長期経営ビジョン未来2031」の推進に取り組んでいます。「開発事業の拡大による事業構造の変革」「輸送サービスの変革」「鉄道オペレーションの変革」の3つの戦略を定め、具体的な施策に着実に取り組んでいます。
「開発事業の拡大による事業構造の変革」では、新幹線札幌駅に直結する札幌駅前再開発事業のほかに、賃貸・分譲マンションの開発、サービス付き高齢者向け住宅「ブランJR」の展開を進めています。ホテル事業では宿泊特化型ホテル「JRイン」を全道に多棟展開し、さらには倶知安、富良野など観光都市での新たなブランドホテルの検討をしています。
「輸送サービスの変革」では、北海道新幹線札幌~東京間最速4時間半に挑戦し、北海道と本州を結ぶ新たな大動脈を確立します。札幌~函館間は1時間で結ばれ、北海道におけるビジネス流動やライフスタイルは大きく変化することになります。在来線では、新千歳空港や北海道ボールパークFビレッジへの輸送力の強化や「当社単独では維持困難な線区」における持続可能な交通体系の構築を地域の皆様と一体となって目指しています。
「鉄道オペレーションの変革」では、ICTやAIなどの技術を積極的に導入していきます。例えば、Kitacaサービスの拡大によるキャッシュレス化の推進や「北海道MaaS」の実現によるシームレスな輸送サービスの提供を目指しています。人口減少社会の進展を想定し、鉄道設備の自動監視やシンプル化、車両や線路・土木構造物へのメンテナンスの自動化・省力化も検討を進めています。

学生の皆さんへ

私が就職活動をしていた頃、JR北海道の前身である国鉄は膨大な累積赤字により破綻寸前の状態でした。しかし、フリークエンシーの向上や到達時間の短縮など、鉄道が北海道に貢献できる要素はまだまだあると感じ入社を決めました。
当社が展開している事業は、多種多様な職場で働く社員一人ひとりの専門性や技術力、知恵、想いによって成り立っています。社員一人ひとりが自信や誇りを持って業務に邁進することで、私たちJR北海道は北海道と共に歩み続け、北海道の未来を創り続けています。
北海道新幹線が札幌に延伸する頃、皆さんはそれぞれのポジションで活躍されている頃でしょう。JR北海道の未来を創っていくのは皆さんです。お客さまのため、地域のため、仲間のため、自分のために実現したい「夢」を持つ方と、私たちは一緒に挑戦していきます。

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